在るべき姿で

  • 2019.03.26 Tuesday
  • 07:07

 

出来上がった離れの外観を

隣地のコインパーキングから眺めていると、

お施主様のお母様が来られて

「私、この感じ気にいっているよ。

窓の感じもなんかええし、塀もおうてると思うし・・」

しばらくの間、一緒に眺めていました。

 

明治後期に建てられた母屋の付属家として建てた離れ。

当時書かれた小説の続編を現代に書くような心持ちで取り組んでいました。

 

自身の余分な想いは一切消し、

ただ母屋との繋がりと現代に生きる施主の想いが

そこはかとなくにじみ出てくるようなかたちとして在るにはと問い続け、

施主との会話に沿って、

粘土の塊をヘラでそぎ落としていくように創りました。

 

個性的な今風の感じでもないし、

当時の町家の意匠そのままでもなく

特徴らしきものはないけれど

もともとここに在ったような佇まいに

これでよかったんだろうと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬至の日に

  • 2018.12.25 Tuesday
  • 11:12

 

冬至の日に 棟が上がりました。

ご家族の憩いの場となるような離れです。

 

棟上げを眺めていると、ご主人様が

2年半前ぐらいに、

家族にとって憩いの場を造れないかって考えて・・・

でも上手く進まなくって・・・

一旦計画が頓挫して・・・

昨夏に佐野さんとお会いして、

今日という日を迎えられて・・・

あの頃の事を思い出すと、

家族一人一人の言うことも

ずいぶん変わりました・・・」

 

棟上げを見ながら、

今までの足取りを確認するように

ぽつりぽつりとお話頂きました。

歓びをかみしめ、想像していた空間を自身の体で確かめながら。

「この感じなら、○○も出来るし、○○も出来る・・・!」

 

ご家族それぞれの想い、そして変わりゆく想いまでをも

受けとめられるおおらかさが、空間にあればと願いを込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分がどうしたいのかわからない時は

  • 2018.11.20 Tuesday
  • 06:43

 

自分がどうしたいのかわからなくって

とお聞きすることがあります。

結論を出すのに情報量が多すぎて選べない方もいらっしゃいますし、

不安が先行して、本当の望みが覆い隠されている方もいらっしゃいます。

 

原因や解消の仕方は内容に応じて様々です。

近くしか見れてなかったら、遠くを見ることを、

考えすぎてわからなくなった方には、一息つくことを

その時の状況に応じて、視座や気分の転換をお勧めします。

 

ここでは、どうしてAという答えを出したんだったかな

今まで辿ってこられた道を少しずつ戻っていくと、

ご家族にとって大事にしたい価値観が見えてきます。

 

そもそもどうして家を建てようと思ったのか

原点まで遡ると、

本当に大切にしたかった想いや望みと出会い、

自信をもって、再び前を進めるようになる方もいらっしゃいます。

 

大切なのは、わからない時は無理に判断せず、

立ち止まり、振り返ることです。

気分が乗るまで結論を先延ばししてもいいですし、

この機会に今一度自分自身と向き合い、

時には家族で話し合うのもいいです。

検討を続けていれば、

ご家族にふさわしい答えが降ってくるような

迷いなく答えが出せる瞬間が訪れます。

 

そこはお任せしますと言われてもいいように

自分の答えは用意していますが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曲がり角の先に

  • 2018.11.13 Tuesday
  • 06:39

 

「見積金額が自分の予想をはるかに超えた時、

もう無理かなって、諦めるしかないかなって正直思ったんです。

でも諦めなくてよかった。いよいよ着工ですもんね。」

ご主人様は、今までの打ち合わせを振り返りながら、

これから形となってこの世に生まれる一つの空間へ

思いを馳せていらっしゃいました。

 

こうなったらいいなぁ

と当初描いた夢がそのまま叶うことは、悪いことではないと思いますが、

ご家族にとっての幸せに繋がるかどうかは、別問題です。

これが叶ってくれさえすれば、私たちの家は最高なんですという夢は、

一時的な思い込みに過ぎないかもしれないからです。

 

やっぱり私達には無理かなと思う時も、

定期的に打ち合わせや検討を続け、自分達の望みをより明確にしていきます。

「もうこれ以上は、なにも思い浮かばない。思いは、全部しゃべりきった」という時に

本来の望みは、ゆるぎない基本計画となってぽっと顔を出してくれます。

そして、希望の灯で、施主の足元を照らし、着工へ導いてくれます。

 

もし、家づくりが上手くいかないとお感じになられていたら、

それは決して悪いことではありません。

今一度、歩んで来られた道を振り返り、

時には方向を修正しながら進んだその先に、

自分達の想像を超えたご家族にふさわしい家が、きっと待っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふつうはといわれましても

  • 2018.10.02 Tuesday
  • 06:42

 

打ち合わせの時に

「私達っておかしくないですか?

ふつうはどうするものなんですか?」

という質問を受けることが、よくあります。

 

これは、選択に悩まれている中で、

失敗したくないという思いで出る言葉かもしれません。

また大多数の意見を参考に

他人から笑われないようにしたいだけなのかもしれません。

 

ふつう・・・と言われると言葉に詰まります。

ふつうって、ないと思っていますから。

 

「水が上から下へ流れるように

配管は、勾配をきちんとってといった技術的なふつうはありますが、

使い勝手や意匠的な部分において、ふつうということはありません。

一人一人に個性があるように

ご家族の好みや使い方に一般解は、本来ないと思いますので。」

と答えると

その瞬間、「えっ」という顔をされ、

「答えになっていないんですよね、きっと・・・」と思いますが

核となる答えは、お施主様の心の内にしかありません。

 

言葉足らずの部分を補うように

こうしたら、こうなりますと

いくつかの具体案やアドバイスを交えながら

何でどう悩まれているのか、

本当はどうしたいのかより深くお聞きしていくと

「私達は、こうします!」

と答えに辿り着かれます。

 

その時、ご自身のお気持ちが心地いいかどうか確認し、

今までのお話や他での選択と照らし合わせて、違和感がなかったら、

「この答えで間違いないんじゃないでしょうか

と僕は太鼓判を押します。

 その場で解決できる場合もありますが

一緒に検討を重ねて答えに辿り着く方が、多いです。

 

私達のひとつひとつの選択が

自分達らしい家を創ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待ち人来(きた)る(後編)

  • 2018.02.27 Tuesday
  • 09:08

 

(前回の続きです)

それから数か月後、所有者様にお会いすると

「あの家を直して貸すことにしたんです。

工務店さんからこんな案を頂いたんですけど、

前とはガラッとかわって、どう思います?

これしかできないって言われたんですけど・・・」

と相談されました。

 

間取りからは、広いLDKを取りたいという気持ちは伝わってきましたが、

家の特徴である中廊下はなくなり、なぜか便所が家の中心にあります。

 

これでは、何のために残すのかわかりません。

 

そこで、もともとの特徴を残しながら、

脱衣所がなく、お風呂も狭い等

現代生活において使い勝手の悪そうな水廻り部分の配置を変える案を

その場でお伝えすると

「こういうことも出来るんですかぁ。こっちのほうが、いいわ。

 お便所も家の真ん中じゃないし・・」

後日、内容を整理してお渡ししました。

その案をもとに見積され、着工することが決まりました。

 

ちょうどその頃、その案を気に入った若夫婦が住みたいと申し出てくれましたが、

残念ながら入居希望時期と完成時期が折り合いません。

竣工後、他府県の方で住みたいとおっしゃって頂きましたが、契約前に破談となりました。

 

これは、どういうことかなぁ

いい流れできているはずなのに・・

今までの経緯を振り返りながら

状況を静観していると・・・

 

 節分を過ぎたある日、所有者様とお会いすると、

「実は、入居してくれる方が決まったんです!

5前まで住まわれた方の体調が回復されて、

息子さん夫婦と一緒に住みたいと言ってくれたんです!!」

 

お聞きした時に、そういうことだったのかと腑に落ちました。

 

家は、あの人の帰りを

ずーっと待っていたんだ、きっと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待ち人来(きた)る(前編)

  • 2018.02.20 Tuesday
  • 09:12

 

今から4年ほど前、

ある家と出会いました。

 

昭和初期に建てられた平屋建で、

当時、町内にお医者様がいないことを危惧されて

所有者様のお父様が建てられたそうです。

数十年にわたり医院兼住居として使われた後は、

貸家として長年活躍していました。

 

「最後におばあさんが一人で住まわれていたんですけど、

体調をこわされたのでね、

息子さん夫婦のところに行くことになって・・・

それからは空き家なんです。

建て替えて再び貸家として使う案を

不動産屋さんから提案されているんですけど・・・

どう思います・・・」

と所有者様からお聞きしましたが、

 

「建てられた当時のお話や

中廊下や独特の屋根の掛け方等

代和風住宅の特徴もあるので、壊すのはもったいないです。

何よりこの家は、まだいけると言っています。」

 

それからは、

別件でお会いするたびに

聞かれるたびに

念仏のように

その家の良いところをご説明しました。(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

費やした時間は、やがて

  • 2018.01.30 Tuesday
  • 09:03

 

打ち合わせがひと段落した時に

 

「私たちは、こだわりすぎたのでしょうか?

思っていたよりも時間がかかったような気がして・・」

少し申し訳なさそうにご主人様に聞かれました。

 

「こだわりがきつい・・・と思ったことは、ないんですけど、

パパっと考えて、チャチャっとやる会社なら、

もう工事は終わっていたかもしれませんね。(笑)

 

でも、

今日まで気になることを

一つひとつ検討してきた時間は、

決して無駄ではありません。

 

竣工後、

今まで費やした時間は、

新しい家族の一員を迎えるように

出来上がった空間を

大切に扱う愛でる気持ちへと変化し

 

やかで、

季節ごとに変化する

日常のささやかな喜びに

気づかせてくれるようになりますから。」

 

自分の考えを思いつくまま答えると

 

「うーん、確かにそうかもしれません。

まだ、工事も始まっていないけど

出来上がった後の暮らしといいますか

既に、すごく楽しみなんです。

きっと、今まで以上に

季節ごとの光の入り方とか

日々の変化に関心を持って

大事にするでしょうね。」

 

生まれてくる我が子との対面を楽しみにする

父親のような眼差しで、少し遠くをご覧になられていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔ながらのやり方で

  • 2017.10.24 Tuesday
  • 07:40

 

お施主様の若奥様が

スーパーで会った友達に、家いつできるんて聞かれたから

来春ぐらいかなって答えたんです。

そしたら、えーなんでそんなにかかるん?って聞かれて・・・

と笑いながらおっしゃられていると

 

お母様が、

うちは竹小舞編んで、荒壁をつけるところから

直してもらってるんやし、そら時間もかかる。

しろありに食われた柱の根継ぎもしてもらってるし、

そういったらえーやん。ええ仕事してくれたはるで!

前の工務店に昔ながらのやり方でやって!って言ったら、

「今頃そんなことやっているところはありませんよ」って言われて

新建材のボードやクロスやらで

離れをリフォームされたから、結露もひどいし、

はよ出来たけど、あれは失敗やわ・・・

 

元々の部分と新しく直した部分が

一軒の家として一体となることを望みますから

京町家を直すときは、昔ながらのやり方を採用します。

 

 

柱の根継ぎをして、小舞竹を編み、土に藁を混ぜて、壁を塗ります。

 

効率化、スピード化の時代の流れの中で

時代遅れといわれるかもしれませんが

京町家にとって

新しい製品や技術が、

必ずしも素晴らしいわけではないと思うから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思いの行方(後編)

  • 2017.04.25 Tuesday
  • 08:31

(前回の続きです)

翌日、施主が気にされていた両社の部品の保管期間などを

メールでお伝えする際、素直にお聞きしました。

 

お気持ちがすっきりされていないようなので、

着工を延ばしてみては、いかがですか?

 

すると

A社のウオシュレットを袖付きタイプ(便座の横にリモコンが付いているタイプ)に

変えたらおいくらぐらいになりますか?

と返答がありました。

 

それは、A社のものなら意匠・仕様を落としても・・・ということなのでしょう。

そこまでA社のことが好きだったんだと気づかされると同時に

自分の心に引っかかっていた正体もわかりました。

 

金額と共にウオシュレットの幅も変わります。

便器の据え付け位置や便器横に設ける棚の奥行等も再検討したいので、

一旦、着工を延ばしたいとお伝えしました。

 

後日、お電話で、

「今以上にお金をかけることは出来ないので

 B社と同じぐらいにならないなら、今すぐ諦めます。

 せっかく予定してくれている業者さんにも悪いし・・・」

 

頭の中で計算すると、

おそらくB社の方が安くなる可能性が高いことはわかりましたが、

せっかく勇気を出して伝えてくれた思いを

今この場で、無理ですとは言えませんでした。

 

「ゴールは見えましたから、ここから、もうひと踏ん張りですね。

なんとか叶える方向で関係者と打ち合わせをしますので、工事の着工だけ、延ばしましょう」

 

数日後、

胸の奥に仕舞われていた大切な思いをもとに

より澄みきった心持ちで、着工することになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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